九州大学 将棋部

九大将棋部員の備忘録

王座戦の振り返り(片山)

九州大学将棋部2年の片山です。自身2度目の参加となる学生王座戦の振り返りをしていこうと思います。どうせ真面目な内容は敬愛すべき先輩方が挙げてくれると思いますので(圧)、私は下っ端ざぁこざぁこメンバーとしてのゆるい感想を述べておきます。長文ですので適当に読んでください。自分の対局を振り返ります。

1年ぶりの四日市ということでかーなーり気合が入っていました。九大将棋部心のふるさと、“みやま荘”へ。毎年泊っている旅館ですがその圧倒的老朽感は今年も我々の心を包みこんでくれました。来年も必ずここに泊まれるように精進しようと、大会前から決意を固めました。

個人としては前回のトリプルアイズ杯では非常に悔しい結果に終わり、何としてでも全国初勝利をという気持ちで臨みました。

まずは3回戦の東大戦から。

14人のうち7番手の我らが大エースのオオヌシこと向井先輩を先頭に持ってくるというぶっ飛んだオーダーでした。上6切りは流石に笑いました。そして私も遅めの出陣です。プレッシャーでちょっと涙ぐんでました。戦型は私が後手で一直線銀冠対三間ミレニアムになりました。

経験不足もあり、あまり主張が無い駒組みになってしまったかと対局中は危惧していました。ただ流石にお相手の65歩(上図)86歩68飛の仕掛けは強引すぎると思い長考。87歩成64歩成78と46飛89飛成63歩成からの攻め合いを本線に考えましていましたが、自信が持てませんでした。ただ今考えれば踏み込まないといけませんね。チキンすぎ。本譜は68飛に65歩同飛63歩64歩から戦いに。しかし87で作ったと金を根性で5筋まで活用させ優勢になりました。

なんやかんや48銀と噛みついた局面は64の馬の利きが絶大で優勢を意識していたものの、79に飛車もおり手が広く寄せの構図が描けなくて悩んでいました。ここで42馬39銀成(37銀成の方が明快ぽい)同金62飛に65角や57角で良かったですね。本譜は62飛に75角同飛同馬44角33銀31銀と迫られ、39馬と切ってしまったのが敗着。22香(下図)42飛成同馬でまだ耐えてますか。

この後にも最後の勝負手(負けだが)も見逃してしまい、悔しい逆転負けに。ただ私の終盤力では順当とも言え力不足を嘆きました。初勝利が遠い。チームもオオヌシ以外負けで1-6。まあ初日オオヌシが1勝できたのが救いですね。


私の2局目は4回戦から。我らが永遠のライバル北海道大学さんとの決戦です。今回北大さんは主力と思われる方々が数名いらっしゃいませんでしたが、大学将棋棋力最下層の私にとっては関係ないです。全員格上です。私の相手は北海道学生王将の北村さんでした。ぎょへえ~。

戦型は私が後手で角換わり腰掛け銀でした。この局面では先手が66歩と突くのが主流ですが、替えて79玉と引かれました。私はノータイムで31玉。この局面はもう千日手なのです。角換わりやらない方はなに言ってんだこいつと思うでしょうが角換わリストの皆さんからは何当たり前のこと言ってんだと叩かれそうです。一例として45桂22銀53桂成同金72角82飛61角成33銀と戻しておけば71馬~61馬くらいしかやることがなくなり、千日手になります(佐藤天豊島の名人戦第1局)。その他変化はあるものの後手は不満ありません。本譜は31玉に66歩44歩でお互いテキトーに飛車をスライドさせて千日手。


先手をゲットしてもう一度角換わりに。駒組みしながら、「自分の対局は向こうにとって勝ち星換算だろうから、2回目の千日手を目指したら無理やりでも打開してくるからそれ咎める方針で行くか」という大変傲慢な考えを思いつきました。カスですねえ~(マスオさんの言い方)。そこで考え付いたのがこれ。

一手ずらして後手の形にして、58玉~68玉を永遠に繰り返すというもの。まあこれは銀矢倉組み替えてもいいし、別に22玉入って75歩同歩65桂から打開しようと思えばできるのです。ただ胸を張ってノータイムで玉の摩擦運動をくりかえすことで、自信あるように見せることができます。実際自身の準備はあるものの、普段の部室では角換わり腰掛け銀を指す人はほぼおらず、実戦不足は懸念していました。しかし作戦は成功!駒を一つもぶつけずに2千日手で半勝半敗で0.5ゲットです。お相手が自分から積極的に仕掛けるのを好まないタイプだったらしく、僕もビビッて独り言風に「これで3回目かぁ(小声)」とか聞こえるように言ってましたが。トリプルアイズでも僕は北大さんとは半勝半敗だったため、なんやこいつと思われているでしょう。チームも4.5―2.5で勝ち。最後くぼしょーさんが勝った時は、嬉しくて号泣してしまいました。涙もろすぎんか自分。


3局目は6回戦より。勝負どころの山口大学戦。私も出陣です。山大さんは九大戦かなり欲張ったオーダーという印象を受けました。自分が先手でお相手の力戦中飛車でした。序盤は未知の世界であり、頭を抱えぼやきまくりながら時間を使いました。なんとか堅さの分実戦的に勝ちやすい展開になり、作戦勝ちにできたと思います。

この65銀と打った手が自慢の一手。薄い後手の玉頭方面を狙いつつ盤面を制圧してかなり感触は良かったです。そのまま押し込んで勝ち。念願の全国初勝利でした。これでチームも4-3で勝ち。これまでお荷物だった自分ですが役に立てましたよ!まあ同期の西山くんが財津氏相手に熟練の終盤力で捲ってくれたのがでかいんですが。


最後は7回戦名古屋大学戦より。チーム3勝目を挙げれば大きく順位が上がるため、気合を入れて臨みました。オーダー交換で向井稗田戦ができてしまったことは驚きましたが。 私が後手で相掛かりから地下鉄飛車を狙われたところで仕掛けました。しかし下図で78角の大チンパンが流石に暴発。同銀同歩成同金77歩88金76銀で難しい、なんならいけると思っているのは流石に形勢判断が終わっていますね。49からの王様の逃走ルートが偉大です。変えて74銀54桂31玉62桂成75銀同歩で互角だそうです。そんなことあります?

この将棋は粘ったものの綺麗に寄せられてしまい、いいところがありませんでした。未熟すぎます。チームも1-6で、この負けが大きく、最終順位は9位に。(オオヌシはまた勝ったよ、強いって)


まとめ

個人としては1.5勝2.5敗で嬉しくもありますが反省点も多く見つかりました。来年もこの四日市に来られるように頑張ります。今回で引退の4年生の向井と久保翔がそれぞれ5勝4敗、3勝6敗とかっこいい姿をみせてくれました。今までほんとにお疲れさまでした。(卒論終わったらまた部室ちゃんと来てください。これからも僕の練習台になってもらうので。)私が強くなれば、部全体の棋力のベースが上がると思っています。今後も誰よりも将棋の勉強を続けます。去年の王座戦まで自分は将棋エンジョイ勢のつもりでした。しかし、今のM1の代が去年の3日目の夜に涙しているのをみて、それほどまでに何かに熱意を向ける姿に憧れ、強くなろうと思わせてくれました。あと自分の大学生活は半分。有意義に使いたいです。

大学将棋オタクとしては、いろんな強豪の将棋を観戦できて楽しかったです。個人的には川島山村戦はすごかったですね。後半の上位大学同士の対局はギャラリーが多くなかなか見られなくて残念でした。ぴえん。


学部2年 片山陽介