ちょっと遅い気もしますが明けましておめでとうございます! 九州大学将棋部4年の山口です。先日行なわれた学生王座戦から約2週間が経ちました。時間が過ぎるのはあっという間で驚くばかりです。ということで忘れないうちに私自身の学生王座戦の振り返りを簡単にやりました。 (全体の結果報告は誰かしらに期待で)
それと私もついに4年ということで全ての対局について触れていきたいなと。是非お時間の許す限り読んでもらえると幸いです。
初戦はいきなりの立命館大学戦。優勝候補なので誰がどのように当たっても九州大学にとっては非常に厳しいのが現実です。
さて、私の将棋の戦型は☗村田システム(私)-☖棒銀となりました。(下図)
村田システムにおいて相手から一直線に棒銀されると8八同金の形になるのが悩ましいところ。壁金の形をどうほぐすかが大事だと思っているんですが、本譜はタイミングを見て8六歩~8七金の組み替えを行ないました。(下図)
この瞬間なら8六同飛はやりにくいかと(5四歩からのカウンター狙い)。8七金~8八玉の形まで何事もなく行けば一局の将棋ですかね。
とまあここまでは良かったんですが数手後、まだまだ中盤なのにとんでもないミスやらかして一気に負けになりました。詳細は省きますがかなり悲しかったですね。次です…
(2回戦はお休み)
上位の大学にとってはあんまり注目されないですが九大―北大の伝統の一戦です。オーダーの都合でエース井上を六将席、私(山口)を七将席だったのですが想定の当たりと若干ずれたという話がありまして。また、私のお相手は直前の京大戦で勝った1年生ということで実力が未知数。とまぁ色々考えてもしょうがないので目の前の一局に挑むのみです。
さて、私の将棋の戦型は☗先手中飛車(私)-☖一直線穴熊模様となりました。一直線穴熊対策は四間飛車に振り直すのをやるんですが見たことないとよく言われます。やっぱマイナーなんですかね。(下図)
鈴木大介先生の「中飛車の基本」という本で最初に読んでずっと愛用してます(相穴熊嫌いというのもあって)。振り飛車らしくさっと捌いて隙の少ない平たい陣形を生かせるのが好きなんですよね。
ただ、北大さんには以前も全く同じ形をやったことあるので対応済みだったら嫌だなと少し思ってました。こちらの研究と経験値で頑張るしかないですね。
話は戻って、こちらの四間振り直しにお相手は飛車浮きで対応&5筋反発される展開へ。居飛車側が穴熊に潜っていないのでこちらとしては捌きあい歓迎でした。展開自体はこの形の望むところです。(下図)
対して私は4六銀~5五銀~4四銀という感じでスルスルと進み下図へ。
さて、銀と金の交換になりますが☗4四同歩で取るか、☗4四同角か悩ましいところ。☗同歩で取る手を当初考えたんですが、☗4四同歩☖5五銀☗7七角☖4四銀で次の良い手が見つけきれずに本線から外しました。ただ、その瞬間ぼやっと☗7五金と打つ手があったようで飛車を捕獲できてたようです。ついつい右辺にばかり目が行ってました…
これが発見できなかったので本譜は☗4四同角を選択。角を捌き☗6四歩を突き捨て☗6三歩~☗6二歩成を間に合わせる方針で。本当は5筋で垂らしたかったんですがうまく対応され、5筋は歩で謝ったので先ほど狙いで。少々進み下図へ。
第一観は☗8五飛。ただ対局中は☖6四飛☗5九金左☖8四歩の後が見えてなかったです。なんとその瞬間☗8六角がぴったりの切り返しですね。本譜はそのまま6七飛と引いたのでちょっともったいない。
この後、お相手のうまい粘りに対してこちらの対応が怪しい局面も少々ありましたが勝ちに繋げることが出来ました。対局を終えるとチーム4-3で勝ちだったのでめちゃくちゃホッとしたのを覚えてます。
2日目に突入。オーダーはドンピシャだったので総力戦といったところ。お相手は名前を出しますと黒田氏で私と同郷同学年、大学以前からの超数少ない旧知の仲なので個人的に負けたくないなというのもありました。(それを観戦する同郷同学年のふうみね氏。来年が楽しみだね)
さて、私の将棋の戦型は☗ノーマル四間飛車-☖居飛車急戦(私)です。過去の大会で振り飛車と少しでも当たりそうになったら散々仲間になすりつけてた譲ってた私ですが今大会は腹を括りました。今まですいません。
先手を貰えれば全然嬉しいのですが、対振り急戦しか出来ない私にとって対振りの後手はちょっとびみょい。持久戦との天秤にかけることが出来ないのでいつも通り急戦で挑みましたが、本譜の仕掛けはポンポン桂で。(下図)
ちょっと余談でポンポン桂跳ねてウキウキしてたら右の福本(1年)が安田流!?をマジでやってて今度は私がウキウキが動揺に。福本の相手が研究家なのでそれを外す狙いでアリかもねーって半分冗談のつもりだったのに()。これには向井先輩(M1)の喜ぶ顔が浮かぶことでしょう。似た現象がこの後東大戦でも起きるので後述と。
戻りまして本譜、居飛車が先手で跳ねられる条件にのっとっていたのですが、今回振り飛車側に☗9六歩が入っているので厳密にはやや損な形(9七角打てる筋が出現するため)。 実際この後そのちょっとの違いが展開に大きく影響します。少し進み下図へ。
初見だと振り飛車側結構悩ましいでしょうか。ただ最善とされてるのは☗6九飛として☖8八飛成には☗6八金~☗7八金とし、龍を作らせる代わりに桂得を主張される展開でこれは居飛車側結構渋いです。なので☗6九飛には飛車をならずに☖7五歩~☖7六歩で居飛車やれるんですが今回は☖7五歩の瞬間に☗9七角が生じます(先手がポンポン桂、後手が四間なら端歩入ってないのでこの変化は生じない)。これでも互角の範疇という認識ではあったんですが、先手の時より損と知りながら突入するのはなんとも言えなかったです。進んで中盤の下図へ。
なんやかんや桂損回復しがちなのがポンポン桂で、本譜はなんなら桂得でした。ただ、何を嫌ったのか上図のように☖5三歩と打ったのが大悪手でした。以下☗4五馬指される→(ん?龍取り?と初めて気づき)☖6九龍を指す→☗6四龍を指される→(ん?金取り?と気づき)☖5二金右を指す→☗3四龍を指される→(2三の地点が相手の馬と龍の2枚の効きで燃え始めた????????ので発狂しながら)☖3三馬を引くという展開になりました。5三歩打って相手の大駒が2枚自玉の急所にワープしてくるのは流石に酷いです。大駒の効きは確認しないとですね。 (下図)
なので先に6九龍としておくべきでした(5八とを次に狙って)。そこから色々あって200手超え、3時間くらいの泥沼将棋になりましたが結果は勝ちでした。褒められる内容ではないですが黒田氏とこうして高校ぶりに将棋が指せて楽しかったです。
ここまで4回戦の振り返りです。思ったより書くのが(というより編集が)しんどくなったので後編に続きます。数日以内にあげるので続きも読んでもらえると嬉しいです!卒論に追われてるので少々時間ください!
九大将棋部 4年 山口諒真