九州大学 将棋部

九大将棋部員の備忘録

春大会 団体戦振り返り~後編~(山口)

 皆さんこんにちは。九州大学将棋部4年の山口です。前回に引き続き春大会団体戦の振り返りを行ないたいと思います。前編をまだ見てないよーって方はこちらから。それと前編後編とも文字だらけになったので誰かしら将棋の内容の振り返りを別に書いてくれると嬉しいなー。

 さて団体戦1日目は前編で振り返った通り九大は非公式を除き3戦全勝で終えることが出来ました。そんな喜びもつかの間、2日目は毎度上位に食い込む熊本大学、鹿児島大学、福岡大学との戦いです。

・2日目の朝、控え室の様子↓


2日目

<熊本大学戦>


 熊大は一般大会の久留米王位熊本県代表経験のあるO倉氏やA馬氏が2大主力、続いてS木氏やT中氏、Mヶ島氏といった4年陣が控えている印象です。また今回高専からの編入のM本氏が五将として初出場ながらほとんど出ていたのでここも堅いという予想でした。
 もちろん他にも有段者が多数控えており層の厚さという面では今年の九州地区内では上位の方です。これをふまえて三将~五将にO倉氏、A馬氏、M本氏が出てくるのはほぼ確定、後は大将と副将に誰が来るか。これらに加え各々の得意戦型なども考慮して臨んだ結果は以下の通りです。


〇 久保―T中
〇 西山―Mヶ島
〇 井上―O倉
〇 徳嶺―A馬
〇 山口―M本

5-0で勝ち


 オーダーは大方予想通りでエース対決となる井上―O倉戦を作れたのは非常に大きかったです。他もお互いの主力同士の衝突で真正面からの戦いでした。対局の内容はといいますと西山は優勢を掴んでから一気に押し切り1勝をまず確保。西山の地区大会での安定感は頼もしい限り。
 久保は本人が得意とする戦型ということもあり不安要素はあまりなかった模様。最後は挟撃の寄せで相手玉をしっかり討ち取ってくれました…

ですが!


なんと対局中に相手の1六の角が2五に成るというハプニングがあった模様(不思議なことに対局者2人ともその反則手が読み筋だったという…)。勝敗はいずれにしても変わらないので笑い話で済んでまだ良かったのかな?笑
 さてエース対決の井上くんはかなり難解なまま終盤へ突入したようです(実況の向井先輩も難解、どちらが勝っていてもおかしくないと評価)。そんな中で抜群の終盤力を生かししっかり勝ち筋を読み切って勝利!強えぇ…
 一方私(山口)はといいますと事前に予想されていた戦法を選んでくれたので考えていた形を採用。とはいえ相手から突然仕掛けられたあたりは意表を突かれ難解な中盤戦、お互いに主張の展開でした。最終盤1手差が見えてきたあたりからは推定相手玉詰みで進めて行き無事勝ち切れました。ですが思ったよりもギリギリの詰み形だったので読み切って踏み込むことに課題を感じました。
 そして最後まで残っていた徳嶺くんは優勢にはなったものの相手の必死の粘りやアヤを求める差し回しでかなりの長期戦を強いられていたようです。しかし勝ち急ぐこともなく丁寧に指し続け着地を決めました。A馬氏とは中学生ぶりの対局ということを聞いていたのでその再戦を見事制してくれました。
 結果は5-0で勝ち。申し分ない一同満足の内容だったと思います。ここまでを終えて九大は次勝てば最終戦を待たずして優勝確定というかなり有利な状況でした。


<鹿児島大学戦>


 鹿児島大学には去年相当苦しめられており、その背景には九大戦全勝の九大キラーI田氏や九州地区個人戦4位のB藤氏の存在がありましたがその方々は既に卒業。とはいえ鹿児島にはそれに次ぐA田氏やT木氏、K木野氏の3年3人が今年も並んで戦力として控えています。幸いなことに去年のI田氏やB藤氏の抜けた穴を埋める絶大な新戦力がいないようなので去年よりは良い条件で戦えました。結果は以下の通り。


〇 西山―M上
〇 福本―A田
〇 井上―K木野
〇 鈴木―T木
〇 徳嶺―H

5-0で勝ち


 西山と徳嶺くんは流石の安定感で大きな危険もなく、勝利を収めてくれました。そして奇しくも新入生3人組が相手の主力3人組と衝突することに。中でも福本くんは驚くほど早い終局で勝ってくれました。相手にうっかりがあったようでしたが逃さず拾いました。また、鈴木さんはジリジリとした将棋でしたが終盤の読み切りで着実な勝利、そして井上くんは終盤の前にかなりの優勢で全く間違えることもなく圧倒してました。
 結果は5-0で勝ち、新入生組の強さを改めて実感する内容でした。なんならこのオーダー来年もできるじゃん。そして鹿大戦勝利により最終戦待たずして優勝が確定!


<福岡大学戦>


 福岡大学は昨年の秋大会準優勝校で毎年要警戒でしたが今回はかなり福大自身苦戦を強いられていた模様(卒業されたH本氏の存在は大きかったようで九大としても毎回苦しめられました)。最終戦待たずしてお互い既に順位が確定しているというかなりレアな状況でした。福大の主力はT内氏とH谷川氏の2枚で続いてB家氏やZ黒木氏、N筋氏が控えている印象です。また主力陣にほとんど振り飛車党だらけというのも特徴的です。最終戦を迎えるまでは主力をしっかり獲れるオーダーを考えてはいましたが既に順位確定ということもありメンバーの出場回数を考慮したものに切り替えました。結果は以下の通り。


✕ 池辺―N筋
✕ 吉澤―H谷川
〇 福本―S田
〇 鈴木―S井
〇 片山―Z黒木

3-2で勝ち


 相手の主力のT内氏が出てきておらず福大側も出る回数を譲った形になったようです。とはいえやるからには是非ともチーム勝って欲しいというのが本音です。
 鹿大戦で活躍の福本くんと鈴木さんですが難解な将棋ながらまたまた勝ちを収めてくれました。本当にご苦労様です。
 4年の池辺は相手の無理気味な攻めをしばらく辛抱する展開に。辛抱が実り反撃のターンが回ってきたと思いきや慎重になりすぎて怪しくなったようで負けを喫することに。本人も悔しがっていましたがしっかり辛抱する良い将棋だったので是非とも次に生かしてくれると思います。
 また、3年の吉澤は福大主力のH谷川氏というキツいあたりになりましたが、経験のある形の将棋へ。中終盤の相手の力に押されてしまい、今大会勝ち星にはなかなか恵まれなかったですが課題を見つけるという意味では大事な対局になったと思います。
 そして同じく3年の片山ですが本局も発狂ではなく冷静の片山発動。かみつく展開になってからの寄せは見事でした。ただ今大会勝負所で出せなくて申し訳ないと感じているのでトリプルアイズや秋大会では是非活躍して欲しいです。
 結果は3-2で勝ちと順位が確定していたにもかかわらず最後までチーム全勝でやり抜くことが出来ました。


※非公式チームの参加者について

 今大会九大からは3年が1人、2年が5人、1年が1人非公式チームで参加しました。私も可能な限りで彼らの対局を見ていましたが他大学の主力と互角以上に渡り合える力があると感じました。自分の得意形を生かしたり、悪くなってもしっかり粘って勝ったりして見応えがある将棋でした。秋大会は14人登録ということもありこの中のメンバーに入れる実力はあると思うので是非ともその力を発揮できることを期待しています。


最終結果・まとめ

・最終結果は以下の通り↓


 九州大学はチームの勝ち星6―0(勝ち数は25―5)で優勝を果たし夏のトリプルアイズ杯の切符を手にしました。さらに2021年度の秋大会から6連覇でこの上ない結果です。
 また、準優勝は九州工業大学となりおそらく初?の結果だそうです。(驚くことに6人での参加なのにオーダーは毎度全員じゃんけんで決めていらしい…。恐ろしい…。)九工大さんの西日本大会でのご活躍をお祈りします。せっかくなので福岡県内同士、練習試合しましょー!

・優勝の賞状をもらう主将の西山(左)となぜかピースをする九連理事長(右)↓


 今回の九大は去年よりも層が厚くなりかなり安定したチームになりました。実際に固定で出す人も1人だけで、他はみんなほとんど同じ回数出場出来たのがその証拠です。チームメイトに感謝しつつ、この状況に慢心せずに今後の大会に臨めたらと思います。また、トリプルアイズのメンバー決めもあるので今度はそんな頼れる仲間たちと8人の枠を争うのは大変ですが今年の九大が全国でどこまで上れるかも大きな楽しみです。

 最後にはなりますが色々とサポートしてくださった院生の先輩方やOBの方々、運営を行なってくださった九連理事の方々や一緒に大会を作り上げた他大学の皆様にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました!そしてお疲れさまでした!



九大将棋部4年 山口諒真